最終兵器彼女 1〜7
- 作者: 高橋しん
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2001/12
- メディア: コミック
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作品特徴と同一類型(同一ジャンル)内での位置づけ
何故、ちせが最終兵器にされたのか? 何故、ちせなのか? そもそも一体日本はどこと戦争しているのか? また、開戦の動機は? などなどそれらの、本来は主軸となる理由が全く描かれていないことが特徴で、作者の話によるとこれは主人公二人の恋愛描写を盛り上げるのを重視して、方法的に、つまり故意に切り捨てるという大胆なテクニックを採用したことに起因するとのことだった。
この作品において独特の形態で提出された「きみとぼく―世界」の短絡性、中間的媒介たる社会や国家といった共同体の方法的後景化という手法は、本作品から数年後(2004年以降)に「セカイ系」のジャンル名で包括され、さまざまな作品群を先駆するものとなった。「セカイ系」は別名「ポストエヴァンゲリオン症候群」と呼ばれ、事実上、エヴァ現象(第3次アニメ大ブーム)以降発生したものではあるのだが、これが「エヴァ系」という、閉じた非生産的な桎梏を抜け、今日的で生産的な、つまりより開けた「セカイ系」という一固有ジャンルを獲得するにいたる過程には『最終兵器彼女』(以下、『最彼』)が『ブギーポップは笑わない』などと並び、決定的な役割を担ったのであった。
またその衝撃的なエンディングが議論を巻き起こした『まほろまてぃっく』に対しても本作品は非常に強い影響を与えている。